まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

メイソウしてきます

こちらでの報告が遅くなりましたが、11/21に無事に実家に戻ってきました。

諸事情があって2ヶ月かけて自転車で進んだ距離を、飛行機でわずか2時間で帰ってきたため、心が追いついていない状態です。

 

人生迷走中なのでこれから10日ほど瞑想してきます。

本当はその前にブログを書き上げるつもりだったのですが、まったく追いつかず…

そのうち書き上げますので気長にお待ちいただけるとうれしいです。

宮崎編 #1 よっぴー&まりんちゃんの子育て論がとてつもなく深かった

よっぴーとまりんちゃんという面白い親子が来ると聞き、都城まで運んでもらった。

AI-am | 小・中・高校に通わずに大学へ行った話と、これからの「学び」の話

実はわたしはよっぴーとまりんちゃんのことは知らず、友人であるまさみん(宮崎のゲストハウス型シェアハウス 『ミヤザキ村Coming館』を運営しているイケメン)から、同じく友人のネジくん(3人の息子のシングルファーザーでありながら、ハッピーソルトという釜焚き塩の職人でもあるイケメン→Uchiwa商店)ちでパエリアを食べる会があるからそこで会おうと言われて向かったのであった。そしてそのパエリアの会の前に、子育ての話についてのお話会があるということで、独身のわたしが行くのは場違いなんじゃないかとドキドキしたけど、本当に貴重なお話が聞けたし、本当に行ってよかったと思う。

夜のネジくん宅のパエリアパーティー&懇親会もこれまた最高だった。

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まりんちゃんは小中高の12年間学校に行かなかったが、ある日大学に行きたくなり、そのために2ヶ月半で12年分の勉強を終わらせ、志望校に現役合格したという女の子。まりんちゃんもすごいけど、そのまりんちゃんを育てたよっぴーの教育方針が本当にすごかった。

子供をひとりの人間として扱うこと。なぜそうしてほしいのか、自分の考えていることをきちんと相手に説明すること。お互いにとって納得できる結論が出るまで徹底的に話し合うこと。

子育てだけでなく、すべての人間関係に当てはまることだなあと思った。

 

「叱る」と「褒める」は同じ

よっぴー曰く、「叱る」と「褒める」は同じだという。どちらも自分の価値観を基準にしていて、それに当てはまれば「褒める」し、当てはまらなければ「叱る」ということなのだそうだ。

 

例えば子供がお風呂から上がってびしょ濡れのままうろうろしていたら、多くの親は「ほら、早く身体拭かないと風邪ひくわよ!」といってタオルで身体を拭かせようとするだろう。でも「タオルで身体をふく」というのは親の価値観や常識であって、もしかしたらその子はカーペットでコロコロ転がって身体を拭くかもしれない。そうしたら、もっと吸水性のいいカーペットに替えてあげればいい。

逆に子供が食器を片付けてくれたとしたら「えらいわね〜!」と褒める。えらいわねって偉そうよね。だって大人に対してそういうこと言わないでしょ?とよっぴー。

また、ついつい言ってしまう「だめだめ」「早くしなさい」というのも、なぜだめなのか、なぜ早くしてほしいのか、まずは自分に問い直すと、その多くは子供のためというよりも自分のためであることが多い。

例えば、子供が誰かにものをもらった時、「ほら、ちゃんとありがとうって言いなさい」と言ってしまいがちだけど、それは子供のためではなく、「自分がちゃんとしつけができた親だと見られたいから」だと気付いてからは言わないようになったという。子は親を見て育つから、親がちゃんと礼節をわきまえていれば大丈夫だということだ。

「早く〇〇しなさい」と言うのも、大抵は親の事情であることが多い。それをちゃんと説明する。よっぴーが「ママはこのあとコレとコレをしないといけないから、早くお風呂に入ってほしいな」と言うと、まりんちゃんは「わかった。じゃあ今日から一人で入るね」と言ったそう。子どもは説明すればちゃんとわかってくれる、と。

 

これって子育てだけじゃなくてすべての人間関係に当てはまることだなあと思う。以心伝心とかテレパシーとか、何も言わなくてもわかってくれるだろうなんて思うのはおこがましい。わかってもらえるように最大限の努力をしないといけない。それは相手が子供であれ、大人であれ、同じことだ。

 

やりたいことをやる、やりたくないことはやらない

日本にいるととかく周りに合わせることを求められる。出る杭は打たれ、人と違うことはおかしいという空気がそこかしこに漂っている。小中高とさんざんそういう教育を受けて、すっかり受け身人間にしておいて、高校卒業、あるいは大学卒業になって急に「やりたいことはなんですか?」と問われる。そんなこと考えてこなかった人間にとって、これほど酷な質問はない。自分のやりたいことがわからなくて、とりあえずみんな行くから大学に行き、みんな就職するから同じようなスーツを着て就職活動をする。他でもないわたしがそうだった。しかしまりんちゃんは違う。彼女は常に自分のやりたいことしかやってこなかった。学校には行きたくないから行かなかった。自分で考えて選択をしてきたから、やりたいことが常に明確に分かっているのだ。だからやりたいことのためには努力だってできる。大学に行きたいと思ったら勉強する。これこそが本来の形なんじゃないかと思った。

 

ありのままを受け入れる

よっぴーとまりんちゃんの話の中でもうひとつ印象的だったのは、ありのままを認めればイライラしないという話。「この子はこういう子なんだ」ということが認められれば、それに対して過剰に反応したり怒ったりする必要はなくなる。まりんちゃんが学校に行かないという選択をした時も、よっぴーはそれを受け入れたのだ。それは信じるということでもあるのだろう。

そしてこれがわたしが砂漠で得た気付きと全く同じで面白かった。

Day 133-135 Laguna route #2 - まやたろの体当たりチャリンコ日記

わたしたちはついつい期待してしまう。自分に、相手に、物事に。そしてその期待が裏切られた時にガッカリしたり、イライラしたりしてしまう。ありのままを受け入れるということが、心を平穏に保つために必要なのだと思う。

よっぴーやまりんちゃんとこの話でとても共感した。もっと話したかったな。またどこかで会えるはず!

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鹿児島編 #2 かごんまぶらり旅

ダイナミックラボをあとにして、鹿児島市内へ向かう。

先日いただいたジョイフルの株主優待券のおかげであたたかいごはんにありつけた。

 

今夜の宿も決まらない中、寒いのでとにかくお風呂に入りたい!と向かった銭湯。閉店時間はまだのはずなのになんでこんなに暗いんだ?と不思議に思うと、扉に「毎月15日休み」の文字。今日は15日。なんという引きの強さでしょう。

灯りに引かれるようにすぐとなりにあったイルカゲストハウスへ。ここは夜は「よるイルカ」という居酒屋もやっていて、宿泊客でなくとも利用できる。他のお客さんと話しながら鳥刺しと焼き芋焼酎で晩酌。うんめ〜!!

おかみさんがめちゃくちゃいい人で、こんなビンボーチャリダーにさえおすすめの野宿スポットや翌日の観光ルートまで教えてくれた。居心地がいいし、外は寒いし、なかなか出られなかったのだけどいを決して外に飛び出す。

公園のすべり台の下とか東屋とかをぐるぐる周り、結局落ち着いたのはこちらの公園。週末にオーガニックフェスタがあるらしく、ちょうどいいテントが並んでいたおかげで屋根と壁付きの優良物件にありつけた。(写真は翌朝撮影)

人が来る前にとっとと撤収。おかげさまで朝日と桜島を眺められた。

昨日閉まっていた銭湯で朝風呂。金魚さんがんばって。

おかみさんにおすすめされたクレープの自販機。ちょうど中身を補充しているところたったのでしばらく待っていた。するとクレープのおじさんに話しかけられる。

 「どこから来たん?ええなぁ。俺もそろそろ仕事やめて車で日本一周しようかと思っとるけん。がんばりや。」

そういって漱石さんをひとり、わたしの手に握らせてくれた。九州の人、ほんとにあったかい…。

ちなみにクレープはこんな感じで出てきます。

西郷どんも見守ってくれる。

ちなみにおかみさんによると西郷どんはとても礼儀正しい人で、たとえ相手が自分より目下の人間であろうと、出迎える時は必ず正装に着替えたという。だからよく見かける浴衣姿は彼の本来の姿ではないらしい。

知らないことばかり。

 

さて、宮崎県の都城でとある親子のお話会があるということで運んでもらうことになったエセチャリダー。そのお話会についてはまた後日あらためて書きたいと思う。

 

鹿児島編 #1 ついに潜入!ダイナミックラボ!!

さて、この旅も残すところ1週間を切った。

イムリミット差し迫る中、わざわざ鹿児島県南さつま市まで足を延ばしたのは、テンダーさんの「ダイナミックラボ」に行くためだった。

sonohen.life

ここはテンダーさんがクラウドファンディングで600万円を集め、廃校を改装して作ったファブラボで、3Dプリンターやらレーザーカッター、製材機や木工用の工具、プラスチック鋳造機など広い校舎を利用して大小さまざまな機械が置かれている。

その多くが貰い物だったり、テンダーさんが自ら手作りしたものもあって、なるべくお金をかけずに、でも小さなパーツから家に至るまでなんでも作れるような設備が整えられている。実際ここでわずか3週間で軽トラモバイルハウスを作った人もいるそう。

今までゴミとして捨てられていたプラスチックやアルミ缶を溶かしてDIYできるような仕組みを作っていて、これができれば、例えば小学校に出前授業をしてみんなで拾ってきたゴミを溶かしてその場で楽器を作るなどといったことができるようになり、ゴミがゴミという概念でなくなる。ものづくりで社会を変えようとしているテンダーさん。他にも核や政治の問題含めいろんな話をしてくださって、改めてその視野の広さにただただ敬服するばかりでした。

 

家も作れちゃう木工ルーム。

 

プラスチック破砕機

破砕されたお弁当のプラスチック容器

テンダーさん自作のプラスチック射出機

こんなかんじでプレスされる。

うわさの3Dプリンター。使われるプラスチックもトウモロコシが原料で3年で土に還るらしい。

こんなものとか

こんなものができちゃう!ちなみにこれはアルミ缶を切るためのジグ。アルミ缶は上下の部分さえうまく切ることができれば、アルミ板として使うことができる。

広げればこんな風に屋根瓦になる。わざわざ高いお金を出して屋根材を買う必要がない。

アルミの融点は660℃なので七輪+ヒートガンで温度を上げれば溶かすことができる。

溶かしたアルミで型作り。

 


ここに来る途中にスポークが2本折れてしまい、昨日直していたらさらに1本折れてしまった。メキシコで半年ぐらい前に組んでもらったホイールなのだけど、あまりいいスポークを使っていないようでニップルも錆びてて回らないし、どうしようかと途方に暮れていたところ、テンダーさんが救世主を呼んでくれた。10年間で111カ国14万キロを走破した「自転車野郎」こと加藤さん。現在は南さつま市の地域おこし協力隊としてサイクルツーリズムに取り組んでいる。その加藤さんがわざわざ工具を担いでやってきてくれたおかげで、どうにかスポークも交換できた。加藤さんのぶっ飛んだ話がとても面白かった。

お忙しい中&お休みのところ案内してくれたテンダーさんはじめダイナミックラボのみなさま、加藤さん、本当にありがとうございました!
さて今日はこれから宮崎に向かいます。ワープ!!



熊本編 #1 サイハテという名の楽園へ向かう

この度この旅に出た理由のひとつが、三角エコビレッジサイハテの6周年イベント「

SAIHATE 6th Anniversary Fes.《楽園2017》」に参加するためだった。

サイハテとは?

熊本にある1万坪のエコビレッジ。パーマカルチャーをとりいれた〝楽園デザイン〟をベースに、アースバッグ建築はじめのあり方を模索・実践するコミュニティーです。

village.saihate.com

 

道の駅で目を覚まし、人が来る前にテントを片付けている間、トイレでiphoneを充電させてもらっていた。片付けを終え、さあ出発しますか、とトイレに戻ると、そこにあるはずのiphoneがいない。

い な い…

わずか15分ぐらいの間にいなくなっているではないか…。掃除のおばちゃんに聞いても知らないと言われ、まだ開店時間まではだいぶあるのでスタッフもいない。仕方ないので近くの警察署に行って紛失届をもらった。

よりによって今日の目的地であるサイハテはどうやら山の中にあるみたいなのだ。余裕を持って出発したはずが、思わぬトラブルで時間をくってしまった。果たして夕暮れまでにたどり着けるのだろうか。大きな不安を抱きながらペダルを踏みしめる。

 

ああ。あまりにも突然の別れ。昨年アメリカへと旅立つ前からの付き合い。たのしい時も、苦しい時も、いつもわたしを見守り、導いてくれた彼。パタゴニアの雨にやられて瀕死状態になったこともあったけど、お米パワーでどうにか復活(ジップロックの中にお米と一緒に入れておくと水分を吸ってくれる)。わたしは彼に何もかも依存していた。なくしてはじめて気づく彼の存在の大きさ。触れようとしてもそこに彼はいない。

しかし走りはじめてしばらくすると自分の視線がいつもと違うことに気づく。今までいつも彼のことばかり見ていて、周りの景色を見ることを忘れていた。何時までにここに着かないといけないという時間に追われ、道順に振り回され、自分がどこにいるのか、なんのために旅をしているのか、わからなくなっていた。

そうか。これは神様が与えてくれた試練なのだ。

 

そんなことを考えながら走っていたら、「ますぱん」というかわいらしいパン屋さんを発見。今までだったら中に入るよりも先に彼にお伺いを立てていた。ここのパン屋さんの評判はどうかしら?とか、どのパンがおいしいのかしら?とか。しかし彼のいない今、自分の直感を信じるしかない。

結論から言うとここのパンはめちゃくちゃおいしかった。特にクリームパンは忘れられないおいしさ…。人の評価よりも自分の直感に従うのだ。

www.facebook.com

 

それからひたすらこぎまくり、三角方面の海岸沿いを走る。

どうにか近くまではたどり着いたのだけど、最後の道がどうにもわからない。細かい地図もないし、どうしよう…。途方に暮れていたところ、一台の軽トラが通り掛かる。

「すみません、サイハテっていうエコビレッジご存知ですか?」

「ああ、あの丘の上や」

と言って指された方を見る。おそらく標高にして100mぐらい上だろうか。ここから見る限りは木しか見えない。

そのおじさんがとっても親切で、わざわざ上まで案内してくれた。

「「サイハテ」っちゅうぐらいやけん、この世に夢も希望もなくした人たちが集まるところなんやろ?」

と言う言葉に思わず吹いてしまったけど、地元の人達にはそんな風に映るのだろうか。

 

何度もお礼を言い、引き続き坂を登る。最後の坂がこの旅はじまって以来最強にエグくて、登ろうとしたら前輪が浮き上がった。

 

なんでこんなところに…と内心思ったけど、その坂の先に待ち受けていた景色を見て納得した。

こりゃ楽園ですわ。

焼き立てパンもおいしい飲み物も全部ドネーションでまわってる。

 

廃材エコヴィレッジ ゆるゆるの飛龍さん&ゆきよさん、宮崎でハッピーソルトという塩を作っているネジくんとも再会したり、他にも面白い方にたくさん会えた。

翌日は高校の友人ファミリーも遊びにきてくれた。

子どもも大人もとにかく自由に自分のやりたいことをやっていて心地の良い場所だった。わざわざ来た甲斐があった。

またゆっくり来たいなあ。

 

※ちなみに、なくしたケータイはちゃんと道の駅に届けられていたようで後日戻ってきました。めでたしめでたし。

福岡編 #4 久留米絣をたずねて三十里

福岡を発ってしばらくしてから久留米絣を見に行くのを忘れていたことに気付く。
当初は佐賀から長崎に向かう予定だったのだが、どうしても久留米絣のことが気になって、福岡に引き返すことにした。

久留米絣(くるめがすり)は、福岡県南部の筑後地方一帯で製造されている絣。生産されているもののほとんどは着尺(きじゃく)の綿織物。織幅が1尺(約38㎝)の織物。括り(くくり)とよばれる技法であらかじめ染め分けた糸(絣糸)を用いて製織し、文様を表す。伊予絣、備後絣とともに日本三大絣の一つともされる。久留米絣の技法は1957年に国の重要無形文化財に指定され、1976年には経済産業大臣指定伝統工芸品に指定されている。
江戸時代の後期に、井上伝という当時12歳の少女が創始したとされる。久留米藩が産業として奨励していた。一時は年間200〜300万反を生産したが、戦後は洋装化により絣の需要が激減、現在は少量の生産にとどまる。

 

今回は八女市にある唯一の工房、「下川織物」さんにやってきた。当日の連絡にも関わらず受け入れてくださり、大変ありがたい。

oriyasan.com

 

サガのサカに苦しめられながら100kmほど走り、工房に到着。

日も傾きかけていたこともあり、干していた藍染の糸を取り入れているところのようだった。

奥の工房からはギッコンバッタンという大きな音を立てながら、織り機がひっきりなしに動いている。20台の織り機による大合奏。

絣は染める段階で染めたくない部分を糸で縛り、織り上げた時に模様が浮かび上がる。織り始めるまでに30工程ぐらいあるらしく、通常で2-3ヶ月、模様が複雑になると出来上がるまでに1年弱かかったりするそうだ。

下の写真は糸を縛った状態(右)、染めたあと(中央)、糸をほどいたあと(左)

これがどんな模様になるかなんてこの時点では想像付かない。

図案を見ながら整経し、

糸を織っていくと…

このように模様が浮かび上がる。す、すげー…

こんな複雑な柄も作れるらしい。

 

素敵なスタッフの皆様。今夜は冷えるわよ、と言って特別に久留米絣のストールをプレゼントしてくれた。うれしい。


今回見たのは機械織りだったけど、本藍染&手織りで未だにやっているところもあるという。残念ながらタイミングが合わなかったので、次回はそれも見てみたいな。


アップダウンを100kmも走った自分をねぎらうために、温泉入って道の駅の半額弁当食べてビール飲んですぐに寝る。ウロウロしたらだめ、飲んだらすぐ寝る。

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