まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

Day 338-340 Tulum

4/21 Fri

朝の開場とともに一番乗りでトゥルム遺跡に入る。まだ人も少なく、気温も涼しくていいかんじ。海沿いにあるこの遺跡は他とだいぶ雰囲気が違う。耳をすませば聞こえる波音。悠久の時を経た遺跡たちは朝日を浴びてより一層神々しく見えた。わたしはこの遺跡が一番好きかもしれない。

 

 

 

かつては権力者たちが住んでいたこの地も、今やイグアナの住処となっているようだ。

ホステルに戻って例の朝食をモリモリ食べ、出発しようとすると、パニアやチェーンやハンドルのトラブルに気付く。ひととおり整備してから気を取り直して今度こそ出発。

さて、わたしは5月2日のカンクン発の便で日本に帰ることになっているのだが、カンクンまであと300kmを切ったというのにまだ10日以上ある。つまり1日30km程度漕ぐだけでも日が余ってしまう。しかしカンクンはリゾート地のため物価が高いと聞いているので、できるだけギリギリに着きたい。そんな訳でいかに時間をつぶすかが勝負というわけなのだ。

iOverlanderによると、20kmほど進んだところにキャンプ場があるらしい。レベッカとネイサンはもう少し先に進むというので、彼らと別れてそのキャンプ場に向かった。

ゲートが閉まっていたが、しばらく待っているとオーナーの友人だという人がやってきて開けてくれた。どうやらオーナーは出かけているようなのでハンモックでゴロゴロしながら待たせてもらうことにした。

気づくと3時間ほど経ち、夕方になってようやくオーナーが帰ってきたのでキャンプ場を案内してもらった。敷地は思っていたよりも遥かに広く、キャンプ場の周りにはセノーテや洞窟、ティピやアウトドアキッチンもあり、すごく素敵な空間だった。そしてちょうど空いているからということで屋根とマットと明かりが付いた超ゴージャスなテントで寝かせていただけることになった。最高だ。中途半端な安宿に泊まるよりテントの方が圧倒的に快適である。

 

4/22 Sat

すぐ近くにいいビーチがあるというので行ってみた。人も少なく、マングローブに木陰もあって快適。

オーナーにシュノーケルを借りたので早速潜ってみると色とりどりの魚がいる。水もすごくきれいなのに、サンゴは死んでいて悲しい。目には見えないけど汚染されているのだろうか。

ひととおり泳いで満足したので、途中の村で買ったパヌチョスを食べ、本を読んでいると、目の前に見覚えのある顔が…。なんとレベッカとネイサンだった!「なんでわかったの!?」と驚くわたし。わたしの自転車が停まっているので、このビーチのどこかにいるのだろうと思いながら何気なく歩いてたら発見したらしい。彼らは7kmぐらい先でキャンプをしているらしいのだが、ここのビーチがいいと聞いてわざわざ戻ってきたらしい。

 

二人と話していると、近くにいた家族が話しかけてきた。ここからすぐ近くのプラヤ・デル・カルメンという町に住んでいるという。娘のクリスは英語を勉強しているらしく、よかったらうちにあそびに来てね、と言ってくれた。

 

そのうち誰かがココナッツを拾ってきて、ココナッツ割り大会がはじまった。石や持っていた小型のナイフであれやこれややってみてもなかなか割れない。やっと割れたと思ったら苦労のわりに得られるものは少なく、「これならメルカドで15ペソで買ったほうがいいね」という結論に達した。

気付けば夕方になり、みんなと別れてビールと食材を買ってキャンプ場に戻った。

ビール片手にハンモックに揺られながらマヤの本を読み、夜は彼らに思いを馳せながら見よう見まねでドリームキャッチャーを作る。これ以上贅沢な時間があるだろうか。いや、ない。

 

 

4/23 Sun

すこぶる暇である。レベッカたちと一緒にキャンプするか迷ったが、ここれもう一泊することにした。

本を読んだりミサンガを作ったり、のんびりしているうちに昼過ぎになった。なにやら村の方から賑やかな音がするので出かけてみると、ただの野球の試合だった。

それにしてもこのマヤ族の本が面白い。ひとりの子どもが生まれてから成長する過程でどんな儀式を受け、どんな神がいて何をするのかなど、暮らしの様子がよく分かる。中でも衝撃的だったのは、マヤの人たちにとってはおでこが平らであることが美しいとされるため、生後間もなくまだ頭骨が柔らかいうちにおでこを板で挟んで縛るということ。所や時代が変われば美しさの基準も変わるのだなあ。

夜、オーナーのレンスが帰ってきたのでビールを飲みながら話した。彼は世界中を徒歩、馬、自転車、バイク、車、ヒッチハイク、クルージング…などありとあらゆる方法で旅してきたらしい。この土地は19年前に購入し、当時はジャングルで何を買ったかすらよくわからないほどだったという。整備を進めていくうちに、セノーテや洞窟、そして人骨も発掘されたそう。地元の先住民の人々の協力を得ながら、昔ながらの技法で小屋やコテージを建て、この場を作りあげてきたという。

「手に入れると飽きてしまって次のことがしたくなる。」だとか「子どもなんて持ったら囚われの身だ。」だとか、彼の持論は独特で、共感できるものもできないものもあったが、

「人生でやりたいことはすべてやった。だから明日死んでも後悔はない。」

と言い切る潔さが格好良かった。そんな風に生きられる人ってなかなかいないでしょう。

 

 

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