新潟〜山形編 塩引き鮭と在来野菜
台風が近づいているので今日はのんびりお休みにするつもりだったのに、朝起きると青空が広がっており、予報では明日の方がひどくなるというので出発することにした。台風5号は時速20kmという自転車並みのスピードで日本海沿いを北上しているそうだ。なんだそれ。わたしのことか。こうなったら逃げるしかない。
そんなわけでとりあえず鶴岡まで走ろうと思ったのだが、準備でモタモタしている間に8時半になってしまい、このままだと台風に追いつかれる…と思っていたところ、大島さんが村上まで送ってくれるというのでありがたくお言葉に甘えることにした。村上に着くと、「せっかくだから塩引き鮭のお店に行こう」ときっかわさんに連れて行ってくれた。わたしは正直「鮭…!?」という感じだったのだが、中に入り、鮭が吊るされている様子を見て、社長さんのお話を聞いて、興奮がおさまらなかった。
いろいろ話し込んでいるうちに1時間以上経っていた。海沿いで大島さんに降ろしてもらい、出発。午前中は天気も良く、日本海ってこんなにキレイだったっけ?と思うほどだった。台風が近づいているというのにのんきに泳いでる人もけっこういた。まあ人のこと言えないけど。
ミネラル工房という塩屋さん(ここも大島さんの知り合い)に寄ると、店主が丁寧に説明してくれた。
白いダイヤと呼ばれる塩の結晶は美しく、指先に軽く力を入れるだけでホロホロと崩れていく。これが石みたいに硬くて簡単に崩れないような結晶はホンモノではないという。今の塩の大半は海外から安く輸入した塩をもう一度水に溶かして煮詰めて再結晶しているような塩で、しょっぱいけどミネラル分は少ない。
塩の作り方、塩づくりへのこだわり、なぜ今の塩がダメなのか、ホンモノの塩は何が違うのか、などアツく語ってくださったのだが、わたしは台風が気になって正直途中からあまり話が入ってこなかった。ごめんなさい。また来ます。
気づけば雨雲がそこまで迫っている。
鶴岡に入った頃ポツポツ降り出した。おまけに真正面からの向かい風。それでも、ちゆきさんが「日本一おいしい」と太鼓判を押す「おむすび大地」さんのおむすびを目指して踏ん張る。
おむすびは本当に絶妙な塩加減とにぎり加減でちゆきさんが絶賛する理由がわかった。
雨脚が強まる中、最後の力を振り絞って「土遊農Do you know?」に到着。着いた直後に土砂降りになり、ギリギリセーフ。ここは600-1000種類の在来作物を全国から集めて育てている山澤さんの温室で、いろんな野菜が所狭しと育てられている。最近「「金がないなら稼げ」元ヒモのマッドサイエンティスト農家が語る人類改造計画 - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」」という記事でも取り上げられた方。
山澤さんは70歳と聞いて驚くほど筋肉ムキムキでキラキラギラギラしていて、ひたすら下ネタを言っているかと思えば、「人生なんて暇つぶしだ。好きなことやれ」「他人のことなんて知ったことじゃない」とか話があちこち飛ぶけど、一本筋が通っていて面白い。「俺は愛さないことにしたんだ。俺が愛した女はみんな俺にメロメロになっちまうからよぉ。」という言葉も納得できるような魅力的な人だった。日本でハーブがまだ知られていないような35年ぐらい前からハーブを育て、研究して化粧品を作っている。
ハーブ研究所SPUR | 完全無農薬&循環型有機栽培「モーガニック」で人、環境にやさしいものづくり
カラスウリの実は化粧水に、根っこはベビーパウダーに。市販のベビーパウダーはコーンスターチで、本物はこっちなのだとか。
7月にオープンしたばかりのレストラン「土遊農」は在来種の野菜をたっぷり使ったビュッフェ。わたしが着いた時はもう閉店していたのだが、ありがたいことにごはんを食べさせていただいた。
店の中にはポールダンス用のポールが立てられるようになっていて、ゆくゆくはポールダンスレッスンもはじめるだとか、もうなんか情報量が多すぎて訳分からなかったけど、とにかく強烈に面白い人だったので頭を整理した上でまたゆっくり来たい。
そんなわけで台風の中、はじめてハウスの中で寝ます。おやすみなさい。