京都編 #1 懐かしさとせつなさと
昨日の朝から降り始めた雨は翌朝になってもしとしとと降り続いていた。
昨夜は結局日付が変わるまで飲み、古良慕のスタッフであるのんちゃんのご実家に泊めていただいた。突然のことなのに快く受け入れてくれて本当にありがたい。
琵琶湖から京都に抜けるには大きく分けて3つのルートがあり、いずれにしても峠を越えないといけない。一番短いけど急な途中越え、ぐねぐねと曲がった山中越え、一番楽だけど距離の長い大関越え。今回は大関越えの裏道である小関越えを行った。200mほどの小さな峠だがそれでも勾配が急なので汗が吹き出る。12時の鐘と同時に頂上に着き、なんだか気分がいい。
そこからはスルスルと坂道を下っていき京都に到着。まともに京都に来たのは何年ぶりだろうか。
真っ先に向かったのは一乗寺にある定食屋、「せんなり」。学生時代、わたしはここで4年間アルバイトをし、胃袋を支えてもらっていた。
いつも変わらず温かく迎え入れてくれるおくさんとマスター。もうあれから10年も経つのかと思うと信じられない。
それにしても京都には友人がたくさんいたと思っていたのに、気づけばみんな就職やら結婚やらで散り散りになってしまった。
ジミーくんの実家であるアイバサイクルに里帰りしてみた。
夜はいつもお世話になっている先輩のおうちへ。ナカイさんはわたしが人生の壁にぶつかる度に相談する頼りになるアニキ。昨年ご結婚されたそうで、奥様にもはじめてお会いした。そんな新婚さんのお宅におじゃまするという厚かましさ。実は近頃少し悩んでいたことがあったのだけど、お二人に相談したら吹っ飛んでしまった。やはり偉大な先輩です。
10年前のわたしはいつも何かに悩んでいて、自分に自信がなくて、人をうらやんでばかりいた。今も根本的には大して変わらないけど、当時はこれで人生決まってしまう!ぐらいに思っていたことが、今にしてみれば本当にちっぽけなことだったなあと感じるわけだから、きっと今悩んでることも10年後のわたしから見たらちっぽけなことなのだろう。そう思えば一見ぐるぐると同じようなところを回っているように見えて、案外らせん状に上がっているのかもしれないな。
大学時代の恩師や幼なじみとの再会、大学の校舎、はじめて一人暮らしをしたアパート、行きつけのパン屋、よく走った道…
変わらないものと変わったもの、 懐かしさとせつなさを感じながら京都の街を後にした。