まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

兵庫#4 塩となたね油だけで革をなめす!?姫路の白なめし

 「姫路の白なめし」の存在を知ったのは2年ほど前のこと。

なめすは漢字で書くと「鞣す」。つまりそのままでは腐敗してしまったり、硬くなってしまう「皮」を、いろんな手法や薬品を用いて、保存性があり柔らかくて使い勝手のいい「革」にすることを指す。昔は脳みそを使ったり、燻したりといろんな手法が用いられていたが、現在はタンニンなめしやクロムなめしが主流となっている。そんな中にあって姫路の白なめしは天日塩となたね油しか使わないというのを読んで衝撃を受け、姫路に行く機会があったらぜひとも見てみたいと思っていた。


そんな折に先日徳島でトータスのかめちゃんと奇跡の出会いを果たし(白なめしと藍染のコラボ作品を見せていただいた)、何か運命的なものを感じて姫路に向かった。


姫路の白なめしはこの地域独特の気候風土によって作り上げられる。川に浸けられた皮は、そこに棲息する微生物の働きで毛穴がゆるみ、脱毛しやすくなる。塩を揉みこんだあとはカラカラになるまで乾燥させるのだが、それも晴れの日が多いこの地域だからこそなせる技。


昔はこの地域一帯で行われていたが、今や白なめしをされているのは新敏製革所の新田眞大さんただひとり。誰も教えてくれる人がいなく、いちから全部試行錯誤しつづけているという。


新田さんに会って、自己紹介も早々に言われたひとこと
「で、君はこれからどうなりたいの?」
にたじろいでしまったが、今の自分が思っていることを素直に話した。


そして新田さんはお忙しいであろうに、結局ほぼ丸一日わたしに付き合ってくださり、白なめしの技術的なことだけでなく、ものづくりをする上での心構え、ひいては人生において大事なことをたくさん話してくれた。


新田さんと話していく中でわたしのやりたいことが見えてきたような気がする。
「ただがむしゃらにやるのはだめだ。ちゃんと頭で考えてから、でも実際にやってみないとわからない。」
「ものづくりをする上で失敗はない。これをこうするとこうなる、というのがわかったのであって、それが例え役に立たないものだったとしても、それを捨てずに取っておけば失敗にはならない。」


わたしは今まで自分は飽きっぽいから職人にはなれないと思っていた。でもそうじゃない。飽きっぽいのではなく、いろんなことに興味がいってしまうのだ。あれもこれも全部やりたい。もっと見たいもっと知りたい。今まで本気度が足りなかった。本気にならないことで逃げ道を作っていた。中途半端なままでは何も変わらない。
やっぱりわたしはものづくりがしたい。そんなことを強く思ったのであった。

 

コーヒー染めと藍染めされた革

 

 

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