まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

アレグアの愉快な仲間たち

f:id:mayataro811:20190308021955j:image

アスンシオンから車で1時間ちょっと離れたアレグアという街。ここはいちごの産地として有名で、シーズンになると道路いっぱいに並んだ露店を目当てに大渋滞が起きるという。

 

そんなアレグアの郊外に住んでいるIさんのお宅を尋ねた。Iさんは98歳になるお母さんと90歳のおばさんの介護をするために、数年前にパラグアイに移住した。
「施設に預けるのは嫌だし、だからと言ってホームヘルパーを日本で雇ったらえらいことになるでしょ。でもパラグアイなら住み込みで人を雇っても月2−3万円だから。本当によかったわ。」という。

だんなさんのお仕事の関係で、中国、タイ、マレーシア、などいろんな国に住んだことがあるから、海外生活に慣れているとはいえ、それにしても行ったこともないはるか遠くの国に、高齢のお母さんたちを連れてひょいっと移住してしまうとは、すごい決断力と行動力だなあと思う。

 

f:id:mayataro811:20190308021613j:image

日本人移住者の多くは日本人移住区に住むことが多いが、この辺りにはIさん以外の日本人は誰もいない。その分パラグアイ人の知人友人がたくさんいて、「竹がほしい」「ニャンドゥティを習いたい」というわたしたちのお願いに応えてすぐに周りの人に聞いてくれた。おかげでその日のうちに竹をもらえるところも、ニャンドゥティそ教えてくれる先生も見つかり、我々は家にひきこもって竹細工とニャンドゥティに明け暮れた。


f:id:mayataro811:20190308021623j:image

ニャンドゥティというのはパラグアイの伝統的なレース編み。詳しくはまた後日書きましょう。
f:id:mayataro811:20190308021619j:image

ここの人たちはみんな気さくで暖かく、居心地が良かった。Iさんおすすめの近所のロミート(ステーキバーガー)やハンバーガーもおいしかった。f:id:mayataro811:20190308021805j:image

 

Iさんのお宅のすぐ近くにお友達が建てた家があり、まだ空き家だからと滞在させてもらった。その家の隣にはIさんが建築中のドーム型のペンションがあり、そこの大工さんであるウーゴとも仲良くなった。

 f:id:mayataro811:20190308022422j:image

 

ある日Iさんのお宅に呼ばれてアサード(パラグアイ流のバーベキュー)をごちそうになっていると、ウーゴがこの近くにあるというアートの学校について教えてくれた。

 

f:id:mayataro811:20190308021743j:image
f:id:mayataro811:20190308021739j:image


そこは土や竹、ガラス瓶やペットボトルの蓋など、自然素材と廃材だけでできた建物が立ち並ぶカルチャーセンター。誰でも自由に学べて、お金もかからない。そこにウーゴが立てたドーム第一号もあるという。

「なるべく自然の素材や捨てられてしまうもので建物を作りたいんだ」という彼。
わたしはパラグアイに来てから度々ゴミについて気になっていた。焼却炉もないので、燃えるゴミも不燃物もビンもペットボトルも全て一緒くたになって郊外に埋められており、臭いや汚染が深刻だという。アスンシオンの町を歩いていてもみんな平気でポイ捨てをするし、どこもかしこもゴミだらけ。だから彼からこの話を聞いただけですごくうれしくなった。
「今日はちょうどminga(みんなで掃除などの作業をする日)だからたくさん人がいると思うよ。」
というので、すぐに行ってみることにした。

f:id:mayataro811:20190308021932j:image


到着するなり出迎えてくれたのは日系3世のケニアさん。祖父母は宮城から移住してきたそうで、日本語も少し話せた。

ウーゴの作ったドームの中は図書館になっていて、みんなが本をきれいにする作業をしていた。わたしも少しお手伝い。

f:id:mayataro811:20190308021937j:image

El Cantaro というのは水瓶のこと。もともと陶器の町だったここアレグアでは昔はCantaroの生産が盛んだったが、使う人がいなくなった今は生産もされていない。

f:id:mayataro811:20190308021955j:image

土や竹、ガラス瓶が使われた建物。
f:id:mayataro811:20190308021944j:image

かわいらしいベンチ。これもモザイクアートかと思いきや、
f:id:mayataro811:20190308021948j:image

よくみるとペットボトルや瓶のふた!
f:id:mayataro811:20190308021941j:image

作業中だったはずなのにKeniaが学校のすみずみまで案内してくれた。狭い敷地の中に建物や畑が所狭しと並んでいる。

そして目に付いたのは後ろの竹林。彼女に聞くと、すぐに持ち主と交渉してくれて一本伐らせてもらった。

f:id:mayataro811:20190308022132j:image

黄色くて、ところどころ緑の縦筋が入った竹。アルゼンチンやメキシコでも同じようなのを見かけた。


f:id:mayataro811:20190308022137j:image

 

お礼にとその場でかごや指輪を作ってプレゼントすると、ぞろぞろと人が集まってきて、「次は是非この場所で子供達に教えてあげて!」との嬉しいお誘いもいただいた。

 

f:id:mayataro811:20190308022159j:image
f:id:mayataro811:20190308022154j:image

 


実はこのアート学校を運営しているグスターボ夫妻は手工芸品を取り扱うお店もやっている。

後日、作った竹細工を持って再度グスターボたちを訪ねた。

f:id:mayataro811:20190308022316j:image

工芸の町でもあるアレグアにはいろんな職人がいて、かつては陶器の街として知られていた。今も土産物屋には陶器が並んでいるが、若い人たちはほとんど興味を示さないという。

「このお店や学校の趣旨は、子供たちや若者にアートに触れてもらうことを通して、それに価値を見出してもらうこと。プラスチックにアイデンティティや文化は継承できない。手仕事にこそアイデンティティが宿っている。」という彼と意気投合した。

4月の帰国直前に、またここに戻ってきてワークショップをすることになりそう。

どんな展開になるか楽しみである。

 

アレグアは、気候も人も心地よくて素敵な町でした。

// カテゴリーの階層化