香川編 まぼろしのフェス
はじめて小豆島に来たのは5年前。あの頃はまだ会社員をしていて、日々の仕事に嫌気が差し、愚痴ばかりこぼしていた。そんなある日、大学時代の先輩に電話したら「俺の知り合いが小豆島でオモロイことやってるから行ってみれば〜」と言われて行ったのがことのはじまり。
小豆島は大きすぎず小さすぎず山も海も川もあるし、昔ながらのやり方で作られる、木桶仕込みの醤油や手延の素麺、そして温暖な気候を活かしたオリーブの栽培などの産業がある。食材が豊富で新鮮だから何を食べてもとってもおいしいし、何よりもその時に出会った人たちが本当に素敵で、すっかり小豆島の魅力に取り憑かれたわたしは、それからというもの、夜行バスとフェリーを乗り継いで会社から直行直帰で年に4−5回来ていた。
今回小豆島にやってきたのはいつもお世話になっている友人が企画した「風が吹いてきたよ」という音楽フェスに参加するため。そして準備からお手伝いしようと早めに乗り込んだのであった。ところがどっこい、直前になって台風21号という想定外の風が吹き、イベントは結局中止になってしまった。わたしも規模は違えどイベントを主催する立場を経験してきたから、これがいかに勇気のいる決断であったことか、そして長いことかけて準備をしてきたことが無に帰してしまうという虚しさや悲しさがいかほどか、想像に難くない。だからこそわたしは予定通り行くことにした。
イベントは幻に終わってしまったけど、そのぶんゆっくりといろんな人に会ったり、おいしいもの食べたり、染め物したり、ゆったりとした時間を過ごすことができた。
どこをどう切り取ってもオサレにしかならない空間、HOMEMAKERSの自家製野菜をたっぷり使ったカレー。おいしいに決まってる。
そして台風が去った翌日にはやっと小豆島をサイクリング。
ヤギを飼っているじゅんこさんと一緒にヤギのエサを取りに行ってお世話をした。前回よりもヤギが増えてて驚いた。親子で勝手に繁殖してしまって困っているらしい。ただでさえ忙しい中でヤギ7頭のお世話…本当に大変そうだけど、ヤギにかける愛情はとてつもない。わたしの悩みを相談したら、じゅんこさんはいつもビシッとしたことを言ってくれるので身が引き締まる。
それから、超絶おいしいお素麺を作っている真砂喜之助製麺所へ。ここの素麺を食べたら他は食べられなくなっちゃうので注意。お素麺もおいしいけど素麺を伸ばす前の「こびきうどん」がめっちゃうまい。まさごさんによると「生こびき」は更にうまいけど小豆島にいないと入手困難らしい。
台風で屋根を修理していたまさごさんがなんと案内をしてくれるというのでドライブへ。絶景ポイントに連れて行ってもらった。
大塚家には本当にいつもいつも大変お世話になっていて、今回も毎日ちほさんのおいしいごはんをたくさんいただいて幸せだった。愛犬のナミちゃんは昔飼っていた犬に言動がそっくりで(食い意地張ってるところとか)見ていて懐かしい気持ちになった。もうじき新しい家族(ヒト)が増えるようなのでとても楽しみ。
台風の日にはちほさんとべんがら染めをした。新しく生まれてくるヒトのためのガーゼタオル。なんか思ってたのと違うかんじになってしまったけど…
ずっと会いたかったヤーミンにも最後に会えてよかった。いつもFacebookで見ていて勝手にファンになっている辰巳家の4人の子どもたちにも会いたかったけどこの日は学校で会えず。また来なきゃ。
その土地の魅力って景色とか食べ物とか文化とかももちろんあるけど、何度も足を運びたいと思わせる理由はなんといっても「人」だと思う。「この人にまた会いたい!」と思えるような素敵な人がたくさんいるから、わたしは何度もこの島に来るのだろう。今回会えなかった人もいるのでまたあそびに来たいな。