まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

山口編 #1 平郡島の織物と子どもたち

山口県柳井港からフェリーに揺られること1時間40分。やってきたのは人口600人弱の平郡島。以前わたしが鹿肉と何かを物々交換したいと言った時に、友人の紹介を介して柳井のタコを送ってきてくれたひさとみさん。会ったことはなかったけど、いつもFBやインスタで染物や織物をしている様子を見て、いつか訪ねてみたいと思っていた。

 

フェリーのりばで出迎えてくれたひさとみさんに工房を案内された。
3年前に柳井縞という柳井の伝統的な織物を半年間習い、すぐに独立したひさとみさんは、toito-fabricというブランドを立ち上げ、伝統的な藍染の縞模様だけでなくカラフルで斬新なデザインも取り入れ、パンクファッションとのコラボ作品なんかもある。

そのままお友達のお宅に連れて行ってくれた。大人も子どもも入り混じって楽しそうに話している。はじめて会ったとは思えない、距離感を感じさせない温かい人達に囲まれて、一瞬で打ち解けた。楽しすぎて写真を一枚も撮らなかったのが心残り。

 

翌朝からひさとみさんはお仕事。

 

ひさとみさんは今、娘さんが成人式で着る振袖を織っている。早くしろと催促されてるそうで必死に織っている。親の織った晴れ着で成人式に出るなんて、なんと素敵なことなんだろう。

 

藍の発酵建ても最近はじめたそうで、建てたばかりの藍で先日いただいた白なめし皮を染めさせてもらった。

 

翌日は平郡東小学校で急遽授業をさせてもらうことになった。今時めずらしいぐらい素直でかわいらしい5人の生徒さん相手に海外の話をいろいろとした。小学生相手ははじめてだったのだけど、クイズや体験も折り込んだりしたので、みんな1時間以上の長丁場でも最後まで楽しんでくれたようでよかった。

やたらテントに興味があるようだったので、みんなでテントを建ててみた。

 

工房に戻り、機織り機のミニチュアで機織りをさせてもらうことに。しかしこの準備がとにかく大変。まず、機結びという特殊な結び方で経糸を一本ずつ、計82本取り付けていく。そして今度はそれを一本一本綜絖に通し、さらに2本ずつ筬に通す。この作業だけで半日以上かかってしまった。結局織りの作業に入れたのは夜の22時頃。これはミニチュアなので82本だけだけど、実際の織り機は840本?通すというのだから途方もない。

機結びを極めたひさとみさんのお弟子さん(小5)に手伝ってもらった。ありがとうひさ!

綜絖通し

これでやっと織れる状態に!

学校帰りの子どもたちが工房に遊びにやってくる。ゲームしたりお菓子食べたり、思い思いに大はしゃぎ。「仕事にならない」と言いながら嬉しそうなひさとみさん。



そして日暮れ前にはみんなで海へ。ちょうど干潮の時間だったのでみんなでいろんな生き物探し。貝とか魚とか魚のうんちとかたくさん教えてもらった。みんな物知りだなあ。

土管の上で宿題。

野生児ココ

さかなのうんち


こんな環境で育つなんてうらやましいと思うけど、実際はけっこう大変らしい。島には中学校はないから対岸の柳井までフェリーで通わなければならないのだが、1日朝夕1便ずつしかないから部活もできない。必然的にみんな出て行ってしまう。島に残っても、新しい人が来たとしても、仕事がない。だからひさとみさんは島に仕事を作りたいと何度も言っていた。観光地でないからこその大変さと、そこに生きる人たちの強さと優しさを感じました。
またゆっくり来たいなあ。本当にありがとうございました。

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