すっかり年も明け、気づけば今年がはじまって半月以上が経とうとしている。
去年の年越しはアルゼンチンでフランス人チャリダーたちと羊の丸焼きをほおばっていたが、今年は実家で両親と紅白を観ながらそばをすすりながら正月を迎えた。
年明けはのんびりしていたけれど、年末は怒涛の日々だった。なぜならマグロバイトをしたから。
年末年始限定の短期バイトないかな〜と探していたところ、たまたま目にとまったのが大田市場での「鮮魚出荷補助・運搬、時給1500円(夜間1800円)」という見出し。高時給であることはさることながら、3日間限定であるという気楽さ、そして夜の市場という普通ではなかなか見ることのできない世界を覗いてみたいという好奇心から応募を決めた。
ちなみに応募したのが26日の夜、担当の方から電話が来たのが27日の朝、そして働き始めたのがその日の夜、というスピード感。勢いって大事。
担当の方から送られてきたメールに書かれていた注意点がすごかった。
改めて…注意点
① 仕事キツイです。(体力を見て仕事の割り振りをするとは思います)
② 寒いです。使い捨てカイロの準備を
③ 汚れます。
④ マグロ臭が付きます。
⑤ ③と④なので作業する格好での通勤は避け、着替えるようにしてください。
(着替えスペースはありますので)
そんなわけでドキドキしながら現地に向かう。
夜の市場。次々と運ばれてくるマグロ。氷を打つ(発泡スチロールの箱に氷を詰める)係だと聞いていたが、女だからと気を遣ってくれたのか、氷ではなくマグロバキューム係だった。一本90kgぐらいあるマグロが4つに切り分けられ、紙に包まれたあとにそれを袋に入れて掃除機で吸って真空にするお仕事。これらが百貨店やスーパーに運ばれ、店頭に並ぶ。
わたしはこういう単純作業はわりと好きで、少しずつコツを掴んでスピードを上げていく感じがたのしい。周りのおっちゃんたちもみんなめっちゃいい人でなかなか楽しい職場だ。さすがに10時間はキツかったけど、周りのおっちゃんたちは18時間とかやってるそうで信じがたい体力。
初日は100本あったマグロが、2日目は200本になるということだったので。翌日に向けて帰ってゆっくり寝ようと思った矢先、師匠からの電話。
「鹿が2頭かかったから解体しにこお」と呼び出しがあり、その足で都留まで鹿を解体しに行く。そしてそこからのマグロバイト2日目は深夜0時から翌昼の13時まで働き、夜は高校の同級生の忘年会に顔を出し、そして再びマグロバイト3日目の11時間労働という超絶スケジュールをこなしたのであった。
職場のおっちゃんらには「初日でもう来ないかと思ったよ」と言われたけど、わたしにはとても新鮮で楽しかった。あんた過酷な労働環境でもギスギスした感じはなく、冗談を飛ばし合う余裕すらある。精神的にも体力的にもすごい人たちばかりだった。
そしておみやげに中落ち、中トロ、頭肉、ほほ肉などたくさんいただき、年末年始に会った家族や友人と一緒に食べた。みんな喜んでくれて、これだけでもやった甲斐があった。
来年またやるかと聞かれたらわからないけれど、このおいしいマグロのためだけでもやる価値はあるかもしれない。