まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

朝カレーとバイクタクシーとインド映画

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排気ガスと土ぼこり、鳴り止まないクラクション、美しいサリーを纏った女性たち、我が物顔で道に居座る牛、牛、牛…はじめてのインドは想像通りの「インドらしさ」に満ちていた。

 

 

チェンナイ空港に降り立ったのは夜の23:30。同じ北半球とは思えないくらい生ぬるい空気にはるか南に来たことを実感する。

eビザのプリントアウトする書類を勘違いしていたり、ATMから出金しようとしたら機械にお金が足りなかったりしてやや手こずったものの、無事に入国。

 

今回旅をはじめる前にカウチサーフィンで、「いつからいつまでチェンナイに滞在します」と予定を公開していたところ、驚くほどたくさんのメッセージが来た。「うちに泊まりにおいで!」「僕が案内してあげる!」などと軽く20通は来たと思う。以前もカナダやアメリカでも同様に予定を公開したことはあったが、ここまでの反応はなかった。恐るべし、インド人のフレンドリーさ。

その中でも紳士的な対応をしてくれたRajeshのおうちにお世話になることに。

空港で近くにいたおじさんにお願いして電話を借り、Rajeshに電話をすると、こんな夜中なのに迎えに来てくれるという。タクシーを捕まえようとしたけどなかなか見つからなかったので本当にありがたい。

電話を貸してくれたおじさんにチップを要求され、高額紙幣しかないので両替して一番小さいお金であった100ルピーを差し出すとふんだくるようにして取っていった。今思えばなかなか高いチップだったけど仕方がない。

20分後、迎えに来てくれたRajeshのおうちへ。そして着いてびっくり。門衛さんのいる高層マンション街だったのだ。聞けばやはりこの辺りで高さも家賃も一番だという。(写真は翌日とった)
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Rajeshの豆カレーとPutti

わたしがインド料理を習いたいと言うと、早速次の日の朝は豆カレーを作ってくれた。マスタードシードと玉ねぎを油で炒め、ニンニク、ショウガ、ターメリックコリアンダーパウダー、そしてチリパウダーをこれでもか!というくらいに入れてベースを作り、最後に圧力鍋で煮た緑豆と刻んだ生トマトを加えて煮込んで出来上がり。

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そしてカレーを煮込む間になにやら赤い粉を取り出し、塩と水を加えてこね始めた。豆っぽい匂いがしたので豆の粉かと思えば赤米の粉らしい。つづいてココナッツを持って「こうやって割るんだ」と大理石のテーブルの上にガンガンと激しく叩きつけるのを見て、以前メキシコのビーチで拾ったココナッツがなかなか割れなくて苦心したのを思い出した。

 
 
 
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Coconut water :)

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割りたてのココナッツから出てきたココナッツウォーターをいただく。ほんのり甘くてさっぱりおいしい。割ったココナッツの果肉を削り、銀色の筒に先ほどの米粉生地と交互に詰めていく。下側の容器に水を入れ、その上に筒を乗せて火にかけて蒸す。



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上の穴から蒸気が出始めて5分たてば出来上がり。下から押し出すとコロンと出てきた。蒸しパンのようなこの料理はPuttiと呼ばれ、Rajeshの故郷であるケララ地方で食べられる主食。


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指でほぐしながらカレーを絡ませて口に運ぶ。味見をしたときは少し辛いかなと思ったカレーも、Puttiと一緒に食べるとほどよく、どんどん箸、でなく手が進む。食べ終わる頃には顔から汗が吹き出るほどだった。

 

食事を終えると、今度はSIMカードを買いに行こうというRajesh。実はデジタルデトックスのためにもSIMなしでいくつもりだったのだけど、乏しいフリーWi-Fi事情も相まって買うことにした。外国人がSIMを買うのはかなり面倒だからと、代わりにRajeshの身分証明で買うことになった。それにしてもインドのSIM代安すぎ。2ヶ月間毎日1.5GBと電話かけ放題で550ルピー(850円)は今まで行ったどの国よりも安いと思う。なるほどだからあまりフリーWi-Fiが普及しないのかもな。

 

はじめてのバイクタクシー 

午後はRajeshは予定があるそうなので、バイクタクシーでおすすめの寺院に行くことにした。インドではUberとOlaという2つのタクシー配車サービスが双璧をなしていて、今回はOlaを使ってみた。現在地と行き先を入力すると近くにいるタクシーとマッチングしてくれる。

15分ほどで到着。バイクに乗るのは久しぶりでドキドキしたけど、風をきる感覚が心地よく、思わず顔がほころぶ。
 

お寺についたはいいものの、門が閉まっている。どうやら午前と夕方しかやっていないらしく、あと一時間くらい待たなければいけない。

その間にT.Nagalマーケットを散策。ちょうどポンガルという収穫祭の最終日で、人で溢れかえっていた。ドライバーのお兄さんも来てくれて一緒にストールを探してくれた。「ありがとう」と言うと「ありがとうはいらないよ、友達だろ」と言う。でもあまり付き合わせるのも悪いし、さっと見学してまた来ることにした。

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カツラ売りのおばちゃん

 

そして再度Vadapalani Murugan Templeへ。ここはMurugaという神様が祀られていて、ヒンズー教の中でも重要な寺院の一つらしい。

中に入ろうとするとno,no と言われて足元を指される。どうやら靴を預けて裸足で入らなければいけないようだ。

色鮮やかなサリーを纏った人たちの行列の最後尾に並び中へ。前の人に倣い、ろうそくの火に手をかざしてから手に色粉をのせてもらい、眉間につける。女性にはお花も配られる(ちゃんと女と認識してくれた)。

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ドライバーのお兄さんにとってもらった写真は全部ななめっていた。


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さあ帰るか、と思うと「もう一箇所お寺に連れていってあげる」というドライバー。正直お寺は今日はもういいかなと思ったけど、帰り道の途中だというので了承した。

しかしRajeshの家の手前の道を曲がり、細い路地を抜けて再び大通りに抜けて湖の横に抜けて20分ほど経ってもまだ着く気配がない。「ねえ、あとどれくらいで着くの?」と聞くと「2分、いや5分かな」という。しばらくすると○○Temple 4kmの看板が。え、もしやこの寺院のことかな?ぜったい5分で着かないじゃん。と思ったら案の定その寺院だった。

 

20分後ようやく着いた寺院は見た目も中身もほぼ一緒だったけど、階段の上にある寺院は眺めも良く、はるか彼方に沈んで行く太陽が見えた。

「ここは僕の一番好きな寺院なんだ」という彼。

そうか、それで連れてきてくれたのね、ありがとう。

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と思ったのも束の間、家の前で下ろしてもらい、お金を払おうとすると当初の2倍の額を請求されて面食らう。「いやいや、500ルピーって言ったでしょ」と、こっちが何を説明しても聞く耳をもってくれない。仕方なく100ルピー追加して「ありがとね、バイバイ」と言うと腑に落ちない顔をしながら走り去っていった。

なんだかモヤモヤした気持ちを抱えながらスーパーに入る。

お世話になっているRajeshのために親子丼を作ろうと思い、材料を買い出し。チキンはどこ?と案内された先の冷凍食品売り場にはチキンナゲットとチキンソーセージしかなかった。冷凍エビで代用するか。もはや親子丼ではないけど。

 

インドに来て驚いたことのひとつはレジ袋がないこと。現政権下で昨年秋からリサイクルできないプラスチックの使用を全面禁止、そして2022年までにプラスチック製品を完全廃止するという。違反者には多額の罰金が課せられる。コスト面の問題などで反対意見もあるようだが、インドという大国がこれだけのスピード感を持って実行できるのはすばらしいと思う。とりわけ環境意識の高いと言えないRajeshですらスーパーには買い物袋を持っていっているのを見て、いまだに断らないとレジ袋に入れられてしまう日本の環境意識の低さに恥ずかしくなった。

 

家に戻り、親子丼ならぬエビ玉丼を作る。日本米に見た目がそっくりなidli rice。Rajeshには「それは粉にしてidliを作るための米だからなあ、まあうまくいかなかったらまた買ってくるよ」と笑われたけど、圧力鍋で炊くとまるで日本米のような炊き上がりだった。

Rajeshもキャベツのスパイス炒めを作ってくれて日印コラボ丼の完成。手で食べるとインド料理感が増す不思議。


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夕飯を食べ終わると、「映画見に行かない?」とRajesh。「インド映画、見たい!」と言うや否やささっと30分後の映画を予約してくれ、映画館に向かう。今まで1000本は見て来たという映画通の彼が選んだ映画は最高に面白かった。

幼い頃から父親に執拗な嫌がらせを受け続けて来た中流階級育ちの主人公が、出生の秘密を知り、超大金持ちである本当の家族を取り戻して行くというサクセスストーリー。ラブコメディでありながら、迫力満点のアクションシーンやインド映画らしく歌と踊りも満載で、眠くなったらどうしようという心配も杞憂に終わるほどあっというまの3時間だった。

Ala Vaikuntapurramuloo

映画が終わったのは深夜1時近く。こんな時間にも関わらず子供も多く、通りを一人で歩く女性も多い。チェンナイはインド有数の治安のいい都市だというのもうなずける。

Rajeshのおかげでもりだくさんのインド初日。

 

それにしても排ガスと埃にまみれていたからか目やにがすごい。以前インドに行った友達が「ありえないくらい鼻くそが出て、自分の体を守ろうとしてるんだな〜と思った」と言うのを思い出したのでした。

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