まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

母とお遍路

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4月末、ゴールデンウィーク直前に母と歩き遍路に行くことになった。と言っても今回は様子見も兼ねて、3日間で行けるところまで行こうという「区切り打ち」。

 

 

歩き遍路は母の長年の夢だった。

母は祖父(わたしの曽祖父)が大好きで、その彼が晩年区切り打ちで歩き遍路を歩いていたが、とうとう最後まで行くことは出来ずに亡くなってしまった。「おじいちゃんと同じ道を歩きたい」

事あるごとに母はそう言っていた。

あとから思うと母ひとりで行きたかったのかもしれないが、わたしも荷物持ちとしてついて行くことにした。

 

いつも通り、ドタバタで行き当たりバッタリな旅。優柔不断なわたしたち親子はどういう順番で回るかも決めないまま、四国に着いてしまった。

調べたところ、時計回りに回るのが準打ち、反時計回りが逆打ちで準打ちの3倍ご利益があるとされる。だがスタート地点はどこでもいいらしい。

 「でもやっぱりはじめてだし、1番からがいいかしら?」

というわけで、急遽高松から高速バスをとって徳島に向かう。この時点で夕方の16時。そして今夜泊まるところすら決めていない。

慌てていろんなところに電話して、ぎりぎり見つかったのが一番札所から徒歩圏内のお遍路ハウス。

もうここが本当に素晴らしかった。

お遍路ハウスを運営されている高原さんは、50を過ぎてからお遍路を始めて、それから20年あまりの間でなんと138回巡礼されたそう。そのうち2回は歩き遍路。

1回だけでも大変な道のりなのに、それを100回以上もするなんて、気が遠くなりそうなお話です。

そしてそんな高原さんにいただいた「錦札」。

実はお遍路グッズの中の一つにお札があって、これはお寺に行った時に納めるだけでなく、お接待を受けたりお世話になった方へのお礼として渡すこともある。それだけご利益のあるものなのだ。われわれのような新米は白色だけど、

白:1~4回、
青:5~7回、
赤:8~24回、
銀:25~49回
金:50~99回
錦:100回以上

といった具合に、回数を重ねるごとに色が変わっていくのだ。

錦札は相当レアで、お守りがわりになるという。そんなレア札をしょっぱなからいただいてしまいました。

 

翌朝、朝からおいしい朝食のお接待を受ける。

そして高原さんに連れられて一番札所へ。

隣のお店でお遍路グッズと衣装を揃える。

わたしたちは金剛杖、白衣、ローソクとお線香、納め札、納経帳を手に入れた。

すげ笠も結局翌日買った。(本当は輪袈裟もあった方がいいらしい)

なんだかドラクエみたいだ。

いよいよ一番札所・霊山寺の中へ。

 

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高原さんに手取り足取りお作法を教えてもらう。

1.山門で一礼

2.手水で身を清める

3.鐘を突く(出る時に鐘を突くのは縁起が悪いとされる)

4.本堂でローソクに火を灯し、お線香3本(過去、現在、未来の意)をあげる

5.納め札を箱に入れる

6.お経を唱える

 詳しくはこちら


pilgrim-shikoku.net

7.お賽銭を入れる

8.鈴を鳴らす

9.合掌

10.大師堂に行き4−9と同じことを繰り返す

11.納経所で御朱印をもらう

12.山門で一礼

 

知らなかった。こんなにやることがあるなんて…

でも高原さんにひとつひとつの意味や心得を教えてもらえたのですごく腑に落ちる。

そして高原さんのお人柄が本当に素晴らしくて、最初にここに来られて出会えて本当によかった。

 

henrohouse.jp

 

2番札所
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道祖神が見守ってくれる
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途中から雨が降ってきて、どう見ても魔法使いにしか見えない人
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女の厄年である33段の階段に1枚ずつお賽銭を載せていくと厄除けできるらしい

42段の男厄除坂が後につづく
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強風に煽られながら橋を渡り
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11番札所まで。

途中で出会ったポーランド人のマーチンと一緒になった。

かれは20kg近い重い荷物を背負って歩いていた。

近くの銭湯に行こうと歩いていると、うしろから来た車が停まる。

「このお弁当余っちゃったからよかったら食べて!」

そう言ってお弁当を差し入れしてくれた。


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聞けばいつもこうして歩き遍路の人たちに余ったお弁当をおすそ分けしているらしい。

お店にはお接待用の募金箱まで用意しているそう。

 

 

 
 
 
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お遍路旅その1が終わった。 普通は2日間で行くところを3日かけてゆっくり歩く。 歩くのもゆっくりだし、お寺についてもゆっくり。お作法に慣って本堂と大師堂でお勤めをして、寺院にある建物や祀られている神様をじっくり眺めたり、ゆかりのエピソードを読んだり、座ってお茶…なんてしていたらあっという間に一時間は経ってしまう。 でも、これでいいのだ。 道端の草花も、道祖神も、鳥のさえずりも、ゆっくり歩くから見えてくるもの。自転車よりもさらにゆっくりな歩く旅。そしてさらにゆっくりなわたしたち。 母も膝の痛みを抱えながらよく歩いた。 素敵な出会いもたくさんあった。 泊まるところも決めずに徳島にやってきてしまったわたしたちを暖かく迎え入れてくれた1番札所近くの道隆さん。翌日も朝早くから美味しいごはんを作ってくれて、一緒に札所へ行って手取り足取り教えてくれて、手作りの可愛いキーホルダーと杖カバーをくれた。最初にここに来られて本当に良かった。 同じ宿に泊まっていたノルウェー人、オランダ人とも仲良くなった。 2日目は18年間お遍路さんを迎えているトシコさんのお接待所に通りがかった。温かいお茶とお菓子、そして手作りのお賽銭入れをいただいた。御歳92歳と聞いてびっくり。 3日目は同じく歩き遍路のポーランド人、マーチンと出会う。たまたま一緒に入ったスーパーで昼食を買ったら「お茶でも飲んでけ」と言われ、ここでもお接待を受ける。店主のキヨコさんがツンデレでかわいかった。 11番札所に17時前ギリギリで滑り込み、近くの温泉に入ろうと歩いていると、一台の車が泊まり、中から出てきたお姉さんが「これ余ったからよかったら食べて!」とお弁当を下さった。聞けばいつも余ったお弁当はこうして差し入れをしたり、お店にはお接待用のノートがあって、お客さんから寄付してもらった分をお遍路さんに差し上げているそう。 なんてあたたかいのだろう。 たった3日しか歩いてないけど、 徳島の人たちのあたたかさに触れて、 雨、くもり、晴れ、と日を追うごとに天気も良くなり、わたしの心を覆っていた雨雲も晴れ渡ったのだった。 結局はどう転んでも自分次第。あとは覚悟を決めてやるのみだ。

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