まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

Auroville滞在記・後編 Sadhana Forest

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同じ宿に泊まっていたフィデルと仲良くなり、彼のバイクに乗っていろいろと周った。

朝ヨガに参加したり、ドーサの美味しいお店で朝食を食べたり。


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マサラチーズドーサがめちゃくちゃうまい。

 

そして中でも印象的だったのが最後に訪れたサダナフォレスト。

見学だけでもできればと思って立ち寄ったら、

「よかったらご飯食べていきなよ〜、お昼のあとなら案内もできるよ!」と嬉しいお誘い。

 

わたしは昼食準備を、フィデルは薪割りを手伝うことに。

大量の野菜をひたすら切りまくる。カレー、サラダ、ごはん、そして直径1mはあろうかという中華鍋で野菜炒め。

キッチンの入口にはこんな看板が。
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各食料を1キロ作るのに必要な水の量一覧。キャベツなら245リットル、牛肉はなんと15415リットル!

だから環境のためにもお肉よりも野菜、ビーガンでいこう!という論理。

なぜ水の量で比較するかといえば、この辺りは1月から7月までの半年間は雨が降らないので、水がとっても貴重なのだ。

 

水を節約するためにこんな工夫も

手洗い場。

容器の底に小さな穴を空けて溜め水を注いで使う。わずかコップ半分の水で手が洗える。すごくシンプルなのにめちゃくちゃ効果的な方法。


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食器洗い場。

ここもバケツに水を汲んでおき3段階で洗う。調理の際に燃やした灰をクレンザー代わりにしてヤシの樹皮でこする。植物性のものしか使っていないのもあってこれだけで十分きれいになる。


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水浴びをするにも、水を汲んでわざわざバケツでバスルームまで運ばなければいけないようにしている。こうすることで重たいバケツを何度も運びたくないから必然といかに少ない水で身体を洗うかみんな工夫するようになるという。そして意外と少量の水でもいけるということにも気付く。

 

少し離れた場所に行くとMud poolがある。周囲は砂地だけどここは泥になっているので乾季のこの時期でも水が溜まっているので、気兼ねなく水遊びができる。暑い日は子どもも大人もここで涼むのが楽しみ。


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母屋はヤシの葉と木でできた大きな建物。風通しが良くて快適。


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サダナの歴史

お昼ごはんを食べ終え、長期ボランティアのリチャードに案内してもらう。ここサダナフォレストはすべてボランティアだけで回っているのだ。年間1,000人、のべ20,000人を受け入れてきたという。

 

2004年にオーナー一族が入ってきたとき、ここは何もない砂漠のようだった。大地は硬くてカラカラに乾き、何を植えてもすぐに枯れてしまう。


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そこで植樹の工夫をした。まずはやわらかい土をこんもりと盛り上げて、その中に苗を植えることで根を伸びやすくする。さらにペットボトルからチューブを伸ばして根の周りに這わせ、少しずつ水が滴るようにし、少ない水で効率的に水やりをする。こうした工夫で不毛の大地に木を植えることに成功した。


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そして徐々に他の動植物も戻ってきた。彼らの働きもあってそこからは加速度的に森が出来上がっていく。人間がコントロールするのではなく、あくまで自然のサイクルがうまく回るように後押しするだけ。そのおかげで、たった16年で70エーカーの広大な土地にここまで森が回復した。

 

彼らはこのノウハウを活かして、ハイチやケニアでも植樹活動を行なっている。ハイチでは栄養価の高いマヤナッツを植樹し、管理の方法を指導。ケニアでもたくさんの果樹を植えた。これらは企業や国からの助成を受けず、すべて個人的な寄付でまかなっている。ただの金銭的な支援にとどまらない、先の世代まで見据えた本当の意味での豊かさの提供がすばらしい。


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Zero waste

トイレはもちろんコンポストトイレ。奥が小、手前が大。水洗トイレだったら一度に20リットルくらいの水を流すけど、このトイレなら小の時にコップ一杯の水だけ。(大は水を使わずおがくずをかける)

液肥や一年かけて熟成させた堆肥は植樹に使われる。水に流して はい、さよなら〜 ではなく、自分の出したものに責任も伴う分、意識も変わる。そして生態系のサイクルに人間もちゃんと入ることができる。


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こちらはボランティアの宿泊棟。


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「屋根の材料はなんだと思う?」と聞かれて、

「ん〜紙?鉄?プラスチック?」と言うと

「どれも正解だよ。使用済のテトラパックなどを使って作ってるんだ。」と聞いてびっくり。

たしかに近づくといろんな材料が混じってる。断熱性も高いそう。ポンディチェリーにある会社が作っているらしい。


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ごみ捨て場は細かく数十種類に分けられている。

「使いみちのわからないものもとりあえず分けて取っておいてるんだ。いつか“ペットボトルの蓋が800こ必要だ”っていう人が現れるかもしれないからね」という。

さすがに普通の家庭では真似できないけど、リサイクルよりもアップサイクルという発想はすてきだと思う。

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ちなみに食べ残しや野菜くずなども細かく分かれている。

犬用、堆肥用、そして牛用

牛は通常は殺処分されてしまうお乳の出なくなった乳牛を引き取って放しているらしい。
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Edible plants

本当はこの日に帰る予定だったのだけど、どうやら翌日に食べられる野草のワークショップがあるというので予定を変更してもう一日いることにした。


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日本でも有名なモリンガやニーム、糖尿病に効く通称インシュリンリーフ、見た目もかわいいChinese violet、サラダにつかえるvitamin leaf…ちょっと見渡しただけでこんなにも食べられるものがある。

 

ひとくちかじるとほのかな甘みがあるrosery pea。水を飲むともっと甘くなる。ステビアみたいだけど違うらしい。
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逆にめちゃくちゃ苦い通称King of bitter。1ミリかじっただけでおえーってなるくらい苦いけど、へびの毒や発熱、喉の痛みにも効くという。喉が痛いので多めに食べたら悶絶した(けどちょっと効いた気がする…気のせい?)。


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種を撒いて手塩にかけた作物が実ったときの喜びもひとしおだけど、こうして野生の恵みをいただく喜びはまたひと味違う。自然が与えてくれているのだということをいっそう強く実感し、自分の知識と経験を使って自然と深く繋がる瞬間だと思う。

日本でも海外でも、こうした食べられる野草や薬草の智慧はこれからますます重要になってくるだろうし深めていきたい。

 

 

 
 
 
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世界最大のエコビレッジと言われるオーロヴィルで過ごした一週間。ややこしくて排他的なシステムや対応の冷たさに悲しくなることもあったけれど、嬉しい出会いもたくさんあった。中でも最後に訪れた #Sadhanaforest は素晴らしかった。草も生えない不毛の大地から徹底的な水の管理と植林によって、たった16年で立派な森が出来上がっていたことに驚いた。ボランティアが年間1000人以上入れ代わり住んでいて、そこで営まれる日々の暮らしも、わたしたちが普段意識せずに使っている水や電気、ガス、トイレ、洗剤、そして食べるもの、ひとつひとつを問い直すものだった。1月から7月までの半年間は雨が降らないので、とにかく徹底的に水を節約。穴の空いた容器に入れて手を洗う仕組み煮炊きはロケットストーブとかまど、灰とヤシの皮で食器を洗い、コンポストトイレから出た堆肥を使って木を育てる。ケニアやハイチでも植林による支援活動をしている。それも助成は受けずにすべて個人的な募金で。食べられる野草のワークショップも面白く、甘いもの、苦いもの、喉の痛みに効くもの、切り傷に効くものなど教えてもらった。 自然農法で作物を育てる #Solitudefarm オーナーのクリシュナさんのお話も面白かった。有機物を極力土に返すこと。そしてその土地にあったものを育てること。そうすれば地球が与えてくれる。奪い合いでなく与え合いなのだと改めて気づかせてもらいました。

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次回は 感動の再会とマウンテンバイク

紅茶プランテーションのぐねぐね道を「あの人」と一緒に走ります。

旅はつづく…

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