「マヤ、今南インドにいるのか?俺もちょうど南インドなんだよ!よかったら会わないか?」
わたしのFBを見たゲリーから連絡があった。
ゲリーとは3年前にパタゴニアのアウストラル街道を一緒に走った。
両膝を手術して人工関節なのに未だに毎年自転車で海外を走っているという彼。
当時で74歳。ということは今は…?
一緒に過ごしたのはわずか数日だったけれど、彼の印象は鮮烈で、一緒に走るのもキャンプをするのもとても楽しかった。一日を終えるとワインで乾杯。向こうではパックワインが安くて美味しかったのでそればかり飲んでいた。
「再会して一緒に赤ワインで祝杯をあげよう!」と盛り上がる。
ゲリーは今回も自転車なのだけど、南インドの暑さにやられて体調を崩してしまったようで、しばらくアーユルヴェーダのトリートメントを受けるという。
わたしは今回自転車もなくて身軽なのでどこへでもいける。2週間後にその時彼のいる場所で落ち合おうということになった。
そうしてムンナルという場所に向かうことに。
標高が1500mと高地にあるので多少涼しいようだ。
オーロヴィルを後にして夜行バスでムンナルへ。
インドの夜行バスが最高すぎて驚愕。
と思ったけどジェットコースター並みに揺れまくってなかなか寝付けず。
おまけに充電器のコンセントがゆるゆるで揺れるたびに落ちて、しまいにはどっかへ行ってしまった。
ヘッドライトを付けて車内を10分くらい捜索したけれど、行方不明。
これは地味に困ったぞ。
ちなみに、夜行バスを予約するときの座席表がこんなだったのだけど
実際には右サイドはダブルベッドだったという衝撃。
左サイドを予約したからよかったけど、ヘタしたら知らないおじさんとダブルベッドで寝るハメになっていたかと思うと……/(^o^)\
そんなこんなで結局充電器は見つからないまま、朝を迎えた。
6時ごろにどこかのバスターミナルに到着。どうやらここからマイクロバスに乗り換えるらしい。
マイクロバスと言っても見た目は救急車のようだった。
はじめはわたしの他に2人しかいなかったのでゆったりと陣取っていたらどんどん人が乗り込んできて満席に。
そしてこのあとの道が地獄だった。
いろは坂もびっくりのつづら折りの道を猛スピードで駆け抜ける。
うつらうつらしていたらカーブの度に頭を壁に打ち付けて痛い。
他の乗客たちは大人も子供も次々酔って、バスを停めて外に出ては吐いていた。
この辺りは紅茶のプランテーションが有名で、もうそれは見事にお茶畑一色。
なかなか壮観な景色。
途中の道路が工事中だったりして1時間遅れでムンナルに到着。
ここからローカルバスに乗り換えてゲリーのいるホステルへ向かう。
「最後の坂がちょっとキツイけど」と彼のメッセージにあったように、最後の坂はえげつない角度だった。これを荷物満載の自転車で上ることを思うと…うう、想像もしたくない。
そしてゲリーの部屋へ。
「ゲリー、いる?」
「!」
わたしを見るなりゲリーは顔をくしゃくしゃにして涙を流していた。
その様子を見てこっちまでもらい泣きしてしまう。
「マヤが来るから町中探し回って赤ワインを買ってきたんだよ。乾杯しないとな!」
インドではワインはおろか、お酒を買うことすら難しい。
それでも思い出の赤ワインを探し回ってくれたその気持ちだけでも嬉しかった。
「まだ朝だけどいいよな?乾杯しよう!」
屋上のテラスに上って乾杯をした。
3年前の思い出話、そしてその後の話、今までしてきた旅の話、話題は尽きない。
「俺は世界あちこち走り回ってきたけど、未だにあのパタゴニアを超える旅はなかなかないね」とゲリー。
彼はお世辞を言うようなキャラではないから、きっと本当にそうなのだろう。
わたしにとってもやはりパタゴニアは特別な場所だ。そんな場所を一緒に走り、そしてお互い偶然同じ時期にインドに来ていて、また再会できたことは奇跡でしかない。
彼はわたしが来るまでにワインのみならず、マウンテンバイクを借りられるところもリサーチ済みで、翌日早速一緒に走ることになった。
翌日、ゲリーの自転車をリキシャに乗せて自転車を貸してくれるホテルへ。
今回は前回のエセマウンテンバイクとは違い、れっきとした3×7段変速のマウンテンバイクだった。見た目も機能も申し分ない。
ジープで40km先の頂上まで連れて行ってもらったので、あとはほとんど下るだけ。
昨日も同じような道をマイクロバスで走っていたけれど、やっぱり自転車の気持ち良さは格別だ。
お腹が空いたので何か腹ごしらえをしようと道端のお店に寄る。
写真でおいしそうだったマギーヌードルを頼んだら
出て来たのはマジーヌードルだった。
麺は茹ですぎてぶよぶよだし、写真のような野菜は一切なく。
申し訳程度に(わたしもゲリーも苦手な)生玉ねぎがのっている。
インドに来てごはんがまずいと思ったのは初めてかもしれない。
(カードライス(ヨーグルトかけご飯)もなかなかきつかったけど。)
インスタント麺をどうやったらこんなにまずく作れるのか知りたい。
気を取り直して再出発。
しばらくしてとうもろこし屋さんがあるので立ち寄る。
その場でとうもろこしを茹でてくれる。こちらはシンプルにおいしかった。
いい景色
景色に見とれながら写真を撮ってたらカーブを曲がりきれずにヤブにつっこんだ。奇跡的に傷一つなくセーフだったけどびっくりしすぎてしばし放心。
よそ見はいけませんね。
紅茶工場へ寄ってみたり
紅茶を摘みに行くおばちゃんたちと写真撮ってもらったり。
手に持ってる棒はお茶の木の高さを刈り揃えるため?らしい
さあ、宿まであと少し
最後の15kmはひたすら下り
夕日がめちゃくちゃきれい
そして宿までのラストの上りはやっぱりキツイ
久しぶりに思いっきり自転車で走り回って、自転車の心地よさを全身で感じた一日。まあ実際はもちろん大変なことのほうが多いわけだけど、人間不思議と辛いことはすぐ忘れてしまうものですよね。
ゲリーもまだまだ現役だし、わたしも負けていられませんね。
そして明日自転車を返しに行くためには、今気持ちよーく下ってきた15kmをひたすら上らないといけない…という現実には目を瞑って、今宵もビールを飲むのです。