まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

南インドケララ州で3週間のアーユルヴェーダ・トリートメントをうけてきた

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3週間に及ぶアーユルヴェーダ・パンチャカルマのトリートメントが終了した。 幼少期から20年以上悩まされているアトピーと慢性的な便秘をなんとかしたいとずっと思っていて、 パンチャカルマに興味があったものの、星の数ほどある施設…どこがいいのか分からないし、金銭的にもギリギリだし、 またの機会にしようかな…などと考えていたら、ちょうど友人の友人がとある病院で受けているという 思いがけぬ縁とタイミングに乗っかってみることにした。

はじめの数日は薬草ベースの薬を飲み、全身オイルマッサージとタッカダーラという冷たいバターミルクを頭にかけるトリートメント。こうして高まっているピッタを落ち着ける。

そして数日後、ついに薬草入りのギーを飲む「スネハパナ」がはじまった。このギーについては諸先輩方や先生から大変な話を聞いていたので、かなり身構えていたけれど、初日は特に大きな変化なく。5日間、日を追うごとに量も増えていき5日目は大きなコップに並々注がれた。さすがにちょっと気持ち悪くなった😓

こうして外からも中からも身体の細胞ひとつひとつにオイルを行き渡らせて、身体を柔らかくし、溜まっている老廃物や毒素を溶かして胃腸に集積させ、そこから他の方法(下剤や嘔吐など)によって一気に出すというプロセス。つまりギーを飲むのは準備段階。 ギーを飲んでいる間は食事はお粥のみ。そして外出も禁止。つらみ。

スネハパナ以外の時期は朝と夕の陽射しの弱い時間は少しだけ外に出られたので、ジャングルの中を散歩したり、アーユルヴェーダの本を読んだり、キッチンに入り浸って薬草を刻んで薬を作るところやご飯を作るところを眺めたり。 スネハパナ中はラッキーなことに向かいの病室に入院していた親子と仲良くなり、朝から晩までたくさんお話した。

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滞在している病院は、地元の患者さんがほとんどで、つないでくれたあきこさんやかよこさん、ここで勉強していたかずえさんが去ってしまった今、日本人はわたしひとり。英語が話せる人も先生含めて数人しかいなくて、常駐しているスタッフは片言しか話せないし、コミュニケーションは取れても話し相手がいなくてちょっとさみしい想いをしていた。 そんな時に向かいの病室の女性の付き添いで来ていたお母さんのスワルナと仲良くなる。彼女は長年小学校の先生をしていて英語が堪能、とても読書家で物知り。インドの文化や寺院やお祭りのこともたくさん教えてくれた。 ベランダから見える植物を見ては、あれは薬に使う、これは洗剤に使う、などと教えてくれる。ココナッツの茎?(木と繋がってる部分)は叩いて使うと歯ブラシになるとか、マンゴーの葉はふたつに割いて、片方は葉を磨き、葉脈のついてる方は舌垢をこすり取るのに使うとか👅 歯磨き粉には何を使うの? と聞くと、umikeriという。聞けばもみ殻を炭にしたものに塩やコショウを混ぜて作るらしい。もしかしたら下の薬局に売ってるかも、と言われて早速下に行って「umikeriはある?」と聞いたらなぜかみんな大爆笑。わたしの発音が微妙だったらしく、どうやらよく似た悪い言葉があるらしい。とにもかくにもumikeriをゲット。これで彼女たちのように芸能人もびっくりのピカピカ歯になるはず✨ そして昨日はなかなかスワルナが来ないなあと思ったら、夕方くらいにやってきて、わたしにギフトがあると。 開けてびっくり、なんとケララの伝統的な白と金のサリーだった!わたしのためにわざわざ買ってきてくれたらしい… あまりの嬉しさに言葉を失う。 ありがとう、ありがとう、と言うと 「わたしたちは親しい友人や家族の間ではありがとうって言わないのよ」とニッコリ微笑む。どこまでいい人なの〜😭 そして早速着せてもらった。(二人がかりで) 改めて彼女たちはよくもこれを毎日ひとりで着られるなあと感心してしまい、それを伝えたら「あら、慣れたら2分よ」と胸を張る。 日本人も昔は毎日着物を着ていたわけだし、きっとそういう感じなのだろう。 夜は着古したサリーを裂き織りしたり、お返しに折り紙を作ったりした。 鶴を折っていたら、「サダコ?」と聞かれて、「そうそう!知ってるの?」と言うと 「毎年ヒロシマの日に生徒たちとサダコを作るのよ」と聞いてびっくり。サダコが鶴の代名詞になっているのがちょっと面白かったけど。 「あなたのおかげで、ここでの滞在がとてもカラフルになったわ」とスワルナ。それはこっちのセリフですよ😭😭😭 そんな彼女たちとも明日でお別れ。さみしいなあ。 わたしはまだまだあと2週間たっぷりです。早くお外に出たいなあ。

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そしてその後、ギーによって胃腸に集められた未消化物や毒を下剤や浣腸で一気に出す作業。 特に浣腸に関しては子どもの頃2週間便秘になり、病院で浣腸を60本処方され、泣き叫びながら逃げまどい、結局2本しか使わずにずっと戸棚を占拠していて、その前を通るたびに陰鬱な気持ちになったというトラウマが😂

だからいつにも増して気合を入れて挑んだのだけど…意外にも拍子抜けするほど簡単に終わり、5回目にはなんと大量600mlの煎じ薬を注入したけれど、もう慣れたもんだった。

正直なところ、わたしは過剰に期待をしていたのだと思う。同じトリートメントを受けた人の話を聞いたのもあって、このパンチャカルマを受ければ、今までの身体の不調が吹っ飛び、まるで魔法のように生まれ変われるのではないかと信じていた。そしてそれには痛みや苦しみが伴うのは当然で、それ相応の覚悟と気合をもって挑んだ。

だが想像していたような強烈な痛みも苦しみもなかなか来なかった。そしてタイムリミットが近づくにつれて焦りや不安を感じはじめる。このまま何も変わらなかったらどうしよう。せっかく時間とお金をかけてここまで来たのに…と。

さらには言葉の壁によってなかなかコミュニケーションが取れない寂しさや、外にほとんど出られないことも相まって、わたしはひとり部屋で過ごす時間が多くなっていった。

そしてある日突然、みんなの前で泣き出してしまった。自分でも訳が分からず驚いたけど、一度出始めた涙はなかなか止まらず、病院のスタッフもドクターもみんな心配して声をかけてくれて、甘いものをくれて、ハグをしてくれた。

どうして泣いているの? そう聞かれて自分に問い直した。

なんでわたしは泣いているんだろう。

きっと寂しかったのもある。でもそれ以上にわたしは他人と自分を比べて焦っていたのだ。わたしはいつもそうだ。他人をうらやみ、勝手に落ち込む。そもそも抱えている症状も反応も千差万別だし、効果が出るまで時間がかかる場合もあるのだし、比較することなんてできないはずなのに。わたしはきっと目に見える即時的な変化やわかりやすいドラマチックなストーリーを求めていたのだと思う。(3週間と言っても生理中は治療がストップするため、実質2週間は短すぎたというのもある)

でも変わらないと思い込んでいたのはわたしで、本当は身体は刻々と生まれ変わっている。人の細胞は3ヶ月ですべて入れ替わるそうだ。その身体の声を聞く耳を持っていなかった。わたしを誰よりも苦しめていたのはわたし自身だった。そして周りまで巻き込んで困らせて、自分のことしか見えていない、ちっぽけな自分が恥ずかしくなった。

きっとわたしに必要だったのはこの気付きなのだ。他人と比べず、自分の声を聞くこと。自分の心と身体が望んでいるものは何か、気付いてあげること。

ギーを飲んでいた5日間、あまりお腹が減らず、食事も少量とるだけで満たされた。インドに来てからほとんど菜食になっていたけど肉や魚を全く欲しない。消化力の弱いわたしには今まで動物性は重すぎたのだと気付く。

スネハパナ5日目、大量の油を飲んだら油状の便がたくさん出た。身体は食べたものでできているのだと身をもって実感した。だからこそ日々何を、どれくらい取り入れるのかがすごく大事なのだと。 今まで残したら悪いとかもったいないっていう気持ちが大きくて、必要以上に食べていた。それを自分の身体にどんどん溜め込んでいたのかと思うとゾッとした。

どんな小さなことからも気付こうと思えば気付ける。大きな痛みや苦しみを経なくても日々変わっていく。

自転車で旅に出た時、ボリビアの砂漠の真ん中で変わらない自分に気付いて絶望し、その後そんな自分を少しずつ受け入れることにした。でも本当は変わることが怖かったのかもしれない。そういう意味では自分が招いた結果だったのだ。変わらないと決めつけていたらいつまで経っても変われないだろう。

変われないと言うのはやめよう。今日からだって変われる。 今日食べたもの、今日の行ない、日々の積み重ねが3ヶ月後の自分の身体を作り上げるのだ。

じっとしていることが何よりも苦手なわたしにとって、この3週間はいろんな意味で修行だった。でもこのタイミングでここに来られてよかった。 同時期に入院していた他の患者さんやドクターファミリーとの交流も楽しかったし、ちょうどお祭りの時期だったので夕方の散歩で出かけたりもした。 料理を作る様子を眺めたり、時々手伝い(という名の邪魔)をしたり。 ここの病院の人たちは本当に働き者で土日もなく朝から晩まで働いている。それなのにみんないつも笑顔を絶やさなくてやさしい人ばっかりだった。

最後、病院のスタッフさんがみんなで見送ってくれてまた泣きそうになってしまった。今度は涙がこぼれないように、必死に笑顔で別れた。

わたしをここに導き、サポートしてくれたすべての人たちに感謝です♥

My Panchakarma treatment has finished. It was quite a challenging three weeks, but I managed to finish it thanks to the supportive doctors and staffs. I will miss you all😢

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