まやたろの体当たり日記 Wanderlust

東京銀座のOL→山梨で農業と狩猟をはじめる→2016北米&南米自転車縦断→2017夏全国キャラバン→2019秋「なないろペダル」(出版舎ジグ)刊行!

ゴア→ラジャスターン 20時間の列車旅の先に

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インドは北と南でまったく違うという。

まず言葉が違う。北インドで話されるヒンディー語と、南インドで話されるタミル語(タミルナドゥ州)やマラヤーラム語ケララ州)とでは全く異なり、同じ国の中でも互いに言葉が通じていない場面も見かけた。日本でも

田舎にいくと訛りのめっちゃ強いおじいちゃんが何言ってるかわからない、みたいなことはたまにあるけれど無論その比ではない。

そして食文化も全く違う。稲作中心の南インドはコメ食文化、北インドは小麦文化。

ココナッツを多用し、マイルドな味付けで菜食中心の南インドに対して、ココナッツが育たない北インドではギーやヨーグルトなどの乳製品を使い、クミンと唐辛子がガツンと効いたスパイシーなカレーが多い。

長いこと全く違う国として機能していたのだから、言葉も文化も食事も異なるのは当たり前だろう。ケララには北インドから出稼ぎにきている人がたくさんいたが、お互い言葉が通じないので英語でコミュニケーションをとっていた。

今回はもともと南インドメインのつもりだったけれど、

どうしても見たいものがあり、最後の一週間は北で過ごすことにした。

 

ゴアから21時間列車に揺られて、ラジャスターンへ向かう。

 

 

インドの長距離列車は車両ごとにクラスが別れていて、エアコンなしのSLクラスが最も安く、エアコン付きの3A,2A,1Aの順に高くなる。

 

わたしはエアコン付きの中では一番安い、3段ベッドの3Aクラスに乗った。

エアコンが欲しかったからではなく(むしろエアコンは苦手)治安的にSLよりも安全だと聞いたから。価格は3倍くらいするけれど、お金で買える安全は買う。

 

3A以上のクラスには3食の食事がつく。

はじめに水が配られ、次にスープとクラッカーが出てきた。

朝ごはんだしこんなもんだよな、と思っていたらカレーとチャパチィ、パン、そしてヨーグルトまで出てきた。

 

ぜんぜん動いていないしお腹も空かない。

インドに来てはじめて食事を残すという失態。

 

車窓を流れる景色をぼんやり眺めていたら、それまで当たり前に見られていたヤシの木と田んぼだらけの光景が、いつしか高木と麦畑に変わっていた。

 

そして数時間後にまた次の食事が運ばれてくる。

一ミリたりとも減っていないお腹をさすりながら無理やり一口入れる。

今思えばこの時からちょっと体調がおかしくなっていたのかもしれない。

 

この3Aの座席の特徴として、上段は常にプライベートスペースだけど、下段は上と真ん中の段の人の座席でもある。そして中段は下段の背もたれを跳ね上げて吊り下げて作るので、そうすると下段の人はまっすぐに座れないほど天井が低くなる。つまり何を言いたいかというと「下段は落ち着かない」ということ。

 

日本人だったら多少なりとも他人に対して遠慮や気遣いといったものもあるだろうけれど、ここはインド。彼らは人が寝ていようとなんだろうと御構い無しに座席に座り、人のベッドの上にボロボロと食べこぼしをして去っていく。

ここはインド。いちいち腹を立ててはいけない。

 

途中ムンバイで停車していたのでチャイを飲む。

向かいのベッドのファミリーに2、3歳くらいの女の子がいて、音楽をかけるとリズムに合わせて踊り出し、いつしかみんなのアイドルみたいになっていた。

シーツでハンモックを作って遊んでもらったり。

そうこうしているうちに目的地についたのだった。

 

 

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